健康診断の見方

 皆さんは職場で年に一度健康診断を受けていると思いますが、結果はどのように見ていますか? まさか異常値がないから健康・・・・と安心して捨ててなんかいないですよね

 働き盛りのビジネスマンの突然死や過労死の原因としてよく知られているのが心筋梗塞。急激に増加している「生活習慣病」の一つです。ところが、この心筋梗塞を引き起こす危険因子として最近話題になっているのが「死の四重奏」症候群と呼ばれるおなかの周りを中心に上半身に脂肪がついたリンゴ型肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症で、これらを長年放置しておくと徐々に血管の動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中を起こして寿命を縮めることになるます。さらに、これにタバコを吸うと、より一層危険性が高まります。

生活習慣病の早期発見につながる検査成績の見方

 生活習慣病の多くは、いずれも自覚症状が出るのがとても遅いという特徴があります。
生活習慣病とのかかわりが深いものについて、それぞれの検査成績の正しい見方と基準値をはずれた場合に考えられる疾病異常をまとめました。


1. BMI

 BMIが25を超える人は、三十歳代から五十歳代の男性ならびに五十歳代と六十歳代の女性の約三割を占めています。 従って、このレベルを超えたら、経過観察と体重調整が必要です。特に、BMI27を超えると余病を併発する危険が高まるので、医療機関で精密検査を受けておく必要があります。 なお、おへその周りの腹囲が、男性で85cm、女性で90cmを超える場合には、内臓脂肪型肥満の可能性が高いのでCT検査を受けてみるとよいでしょう。
最近では、体脂肪率と一緒に内臓脂肪の蓄積レベルをチェックできる体脂肪計も発売されたので、これを利用してみるのもよいでしょう。また、二十歳代、三十歳代の女性では、低体重にも注意が必要です。


2. 血圧

 血圧はしょっちゅう変動します。ですから、健康診断の時の一回の測定値だけで一喜一憂する必要はありません。白衣高血圧などのケースもよくあるので、いろいろな時間帯にいろいろな場所で測定してみることが必要です。高血圧はサイレントキラー(静かな殺人者)といわれるほど、自覚症状がとても少ないのが特徴です。決して自覚症状に頼らず、客観的な結果と専門家の意見に耳を傾けてみてください。


3. 血液脂質検査

 血液中の脂質に関する検査では、総コレステロール、中性脂肪そして動脈硬化を予防する善玉のHDLコレステロールの三つがよく測定されます。動脈硬化を促進する悪玉のLDLコレステロールは、最近では検査ができるようになりました。脂質の検査は食事の影響を強く受けるので、十二時間以上空腹の状態で受けるのが原則です。特に、再検査を受ける際には、この条件をしっかりと守らないと意味がありません。
 最近、約五万人余りの患者さんを対象にした大規模臨床試験「日本脂質介入試験」の結果から、日本人の場合、総コレステロールが240mg/dl未満なら、心臓病の発生率は高くならないことが明らかになり、高コレステロール血症の診断基準も従来の220mg/dl以上から240mg/dl以上へ引き上げられることになりました。


4. 血糖検査

 血糖は脂質と同様に食事の影響を大きく受けるので、やはり十二時間以上空腹の状態で検査するのが原則です。平成十年に厚生省が行った糖尿病実態調査では、糖尿病が強く疑われる人は全国で約六百九十万人、これに糖尿病の可能性を否定できない、いわゆる糖尿病予備軍の人を加えると約千三百七十万人に達し、この数は何と日本人の十人に一人に相当することが報告されています。ですから、糖尿病は決してまれな病気ではないという認識が大切です。特に、放置しておくと失明や腎臓障害の原因になる点が問題です。近年、視覚障害や新規に人工透析を受けるようになった原因の第一位が糖尿病になったという発表は耳新しいところです。
 空腹時の血糖が110〜125mg/dlの場合には、糖尿病ないし予備軍の可能性があるので、ブドウ糖負荷試験という検査を受けて、糖尿病かどうか確かめておく必要があります。また、採血した日から逆算して過去一〜二ヶ月間の血糖の状態を反映するヘモグロビンA1cの値が5.7〜6.4%の間にある場合にも同様です。なお、空腹時血糖が126mg/dl、ヘモグロビンA1cが6.5%を超えると、糖尿病の可能性が極めて高くなりますので、医療機関受診が必要です。


5. 尿酸検査

 血液の中に尿酸が増えすぎると、痛風になる心配があります。通常、血液中の尿酸値は男性のほうが高いのですが、8.0mg/dl以上になると、血液の中に溶解しきれなくなり、尿酸の結晶がからだのあちこちの組織にたまりはじめるおそれがでてきます。足の親指の付け根の関節などに尿酸がたまって引き起こされる痛風発作は有名ですが、そのほかにも、尿路結石、腎臓障害、血管障害、心筋障害、動脈硬化など全身の病気を引き起こす可能性があるので要注意です。